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2008.2.1
C型肝炎について【副院長】

現在世界人口の約3%、約13千万人がHCVに感染しているとされる。

日本におけるHCV抗体陽性率にも地域差や年齢依存性がありはっきりしないが、年齢構成人口から試算すると、全国で約200万人のHCVキャリアが存在すると推測されている。

慢性肝炎、肝硬変の約7割、肝細胞癌の約8割がHCVの持続感染に起因している。

HCVに感染した場合は高率に慢性化し、しかも余年にわたり無症状で経過するために、キャリアの多くは自分が感染していることを知らない。

厚生労働省は20024月から老人保健法に基づく40歳以降の節目検診においてHCV抗体検査をスタートさせ、日本肝臓学会を中心とした肝癌撲滅検診が展開されている。

しかしまだ問題は多く平成15年から17年までの3年間に対象者である1900万人のうち500万人(27%)しか節目検診を受診していない。このうち5万人(0.92%)がHCV陽性と判明している。しかしこの5万人のうち医療機関を受診したのは30%の1.5万人に過ぎず、さらにこの1.5万人のうちインターフェロンを含む治療を受けたのは30%の約3000人に過ぎない。40歳以上では1%以上のキャリア率が想定されているので、感染していながら発見されない人、適応がありながら治療を受けていない人がまだ多いのである。

日本のHCV感染者は非常に高齢化してきている。我が国のHCV持続感染者の多くの感染は昭和3040年代にかけて起こったと考えられている。

厚生労働省C 型肝炎研究班の調査によると、2000年の時点で7072歳の人口におけるHCV抗体陽性率は11%にも達するという驚くべきデータがある。現在それらの人たちは感染から約40年が経過して肝癌発症の年齢に達してきている。今HCV感染者のC型肝炎初発生年齢は平均6870歳である。C型肝炎をいかに治療して肝癌の発生や肝硬変の合併症から救うかは大きな問題である。

現在C型肝炎の治療はインターフェロン製剤を中心として行われている。

第一選択はリバビリン併用ペグ・インターフェロン療法であり、現在の治療の主体である。

本治療法によりC型慢性肝炎の約60%でウイルス排除が可能となっている。HCVが排除された例では肝線維化が改善し、肝癌の発生が抑制され、生命予後の改善が報告されている。すなわちHCV消失までに持ち込めれば、C型慢性肝炎の予後が改善するのである。

まずは検診などでHCV感染の有無を調べ、もし陽性の場合は自覚症状がなくても医療機関を受診し必要に応じ適切な検査、治療を受けることが望まれる。

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